はじめに
2020年7月、新型コロナウイルス感染拡大を受けて一般化した「オンライン会議」を「もっと面白くする新しいアイディア」が発表されました。
元Evernote社CEOのフィル・リービンが起業した【mmhmm(発音:んーふー)】です。
まだ本格的なローンチには至っていない段階のサービスですが、発表と同時にビジネス界隈では大きな話題となり、「早速使ってみたい!」とベータ版を導入する人が殺到しています。
オンライン会議で画面越しに人の顔だけを見ながら話し、資料の共有をするたびに画面を切り替えなくてはいけない状況にうんざりしていた人々にとって、フィルの提供する新しいサービスは「面白く」「画期的」でした。
mmhmm(んーふー)を使えば話者の背景に写真や資料をテレビのワイプのように表示されることが出来、話者を大きくしたり小さくしたり、写し出した資料の邪魔にならないよう画面上の話者を半透明にしたり移動させたりすることが出来ます。
mmhmm(んーふー)のサービス概要については、フィル・リービン本人が紹介している動画がありますのでチェックしてみて下さい。
(英語)
こんな画期的な物を作り出す、フィル・リービンとは一体どういう人物なのか?
彼の生い立ちからmmhmm(んーふー)開発にいたる以前までの経歴を簡単にご紹介します!!
フィル・リービンの生い立ちと経歴
生い立ち
1972年、ソビエト連邦のサンクトペテルブルグ(現在のレニングラード)でフィル・リービン(Phil Libin)は生まれます。
誕生日は明らかになっていません。
フィル・リービンの両親について
フィル・リービンの両親はソビエト連邦でクラシックの音楽家をしていたそうです。
父親はバイオリニスト、母親はピアニストだったそうです。
アメリカに亡命
フィル・リービンが8歳だった1979年に一家はアメリカに亡命します。
亡命以前は音楽家として裕福な生活をしていたのが一変、ニューヨークでの新生活では貧しい暮らしを余儀なくされました。
治安の悪いエリアで生活していたそうですが、フィル曰く「僕はコンピューターオタクだったからほとんどの時間を家の中で過ごしていた」そうです。
コンピューターの知識で生計を立てた青年時代
16歳になる頃にはその知識と技術を活かし、フリーランスとしてコンピューター修理やプログラミングの仕事でお金を稼いでいたそうです。
ボストン大学進学
高校を卒業したフィルは名門ボストン大学のコンピューターサイエンス学科に進学。
しかしほんのいくつかの単位を取りこぼしたことで卒業間近になって大学を中退してしまうことに!
しかし学生ながらすでにフリーランスのコンピューターエンジニアとして収入があったフィルニとって大学の卒業証明はもはや重要ではありませんでした。
それよりも大学の友人たちとソフトウェアの会社を起業するという野望があったフィルにとって、留年し大学を卒業することよりも、早く仲間と起業したいと言う意思の方が勝り大学中退という選択を選びました。
スタートアップを起業し次々と成功を収める
1997年にEngine FiveというNokia向けのオンラインストアを開設する会社を起業すると、3年後に会社を2600万ドルで売却。
そして2年後に今度は仲間たちとCalled Core Streetという銀行や政府向けのセキュリティーソフトを開発する企業を立ち上げ、7年後に2400万ドルで売却します。
そして2007年、同じ仲間たちと共に拠点をボストンから西海岸に移し、Evernoteを起業します。
Evernoteについて
Evernoteはアカウントを登録すれば、メモやノートを作成し保存する事が出来ます。
パソコンやスマートフォンで作成したそれらは文章を作成できるだけでなく、写真や音声、ウェブサイトを丸っと保存する事が出来、しかもアカウントにログインすればそれらの情報にどこからでもアクセスできるという優れものです。
ノートやパソコンを持ち歩かずとも手元の端末ですぐに資料を作成、保存でき、しかもどこからでもその資料にアクセス出来るとあり、学生からビジネスパーソンまで幅広く利用者を獲得。
しかもEvernoteは無料で利用する事が出来(有料プランあり)、アメリカを中心に日本でも多くの人々に愛用されています。
EvernoteのCEOを退任
2007年の起業から8年。
2015年にフィル・リービンはEvernote社のCEOを退任すると発表し世間を驚かせました。
退任の理由についてインタビューで質問を受けたフィルは以下のように答えています。
それは、CEOの役割をエンジョイできなくなったからです。
仕事が楽しく、結果も出ているうちは、後任探しのことなど頭に浮かびませんでした。ところがある日、目の前の仕事を100%楽しんでいない自分に気が付いてしまったのです。ちょうど、社員数が350人を超えたくらいのタイミングでした。
無責任な発言だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はむしろ、そのような状態でCEOを続ける方が会社のためにならないと考えました。それで、すぐに後任探しを始めたんです。
引用元:https://business.nikkei.com/atcl/interview/15/230078/051500090/?P=2&mds
同インタビュー記事でフィルは、『100年続く会社』を目標として掲げており、Evernoteが100年続く老舗企業になるためにはどこかのタイミングで自身がCEOの座を離れる必要があり、それがこの「エンジョイできなくなった」タイミングであったと話しています。
スタートアップとして起業したEvernoteが成長したことで、起業家としての自身の役目は終えたとして、これからはスタートアップを育てる側に回りたいと考えたそうです。
まとめ
あまりプライベートな情報が公表されていないフィル・リービン。
本ブログを書くためには海外のウェブサイトを探し回らなくてはならず、かなり苦労しました。

引用元:https://newspicks.com/news/5069010/body/
「親日家」としても知られている彼。mmhmm(んーふー)のプロモーションでサラッとウニのお寿司の写真を背景に使っています(この時の動画は特に日本向けに公開されたものではないのに、です)。
Evernoteなど、彼の作ったサービスが広く世の中に支持されている中で、自身はあまり表に出たがらない性格のようですね。
彼の作った新しいサービスmmhmm(んーふー)がにわかに注目を集める中で、今後のフィルの活動や彼の目指す「スタートアップからの『100年企業』の生み出し方」の動向にも注目です。
最後までお読み下さりありがとうございました。