はじめに
今日からフランスでは
DV(家庭内暴力)加害者に対して
GPS内臓の電子足輪を装着させることを
可能にする法律が施行されます。
スペインなどでは
すでに導入実績があるという
このGPS追跡機について
調べてみました。
GPS追跡機とはどういうものなのか?
今回フランスで導入される機器は
英語で “GPS tracker” (GPS追跡機)
と呼ばれており、
家庭内暴力の「加害者」の
足首に装着されます。

引用元:https://www.abc.net.au/news/2018-12-21/ankle-worn-gps-tracking-device-tasmania-police-photo/10653992?nw=0
(※上の写真はアメリカで使用されている電子足輪の画像)
家庭内暴力の「被害者」は
携帯電話に似た受信機を常に持ち歩き、
GPS追跡機を装着した人物が
一定距離以内に近付くと
受信機から警戒音が鳴り
それと同時に
警察に連絡が行く
という仕組みになっています。

引用元:https://www.afpbb.com/articles/-/3306537
↑こちらが今回フランスで導入される機器です。
フランスでの導入計画
今回のフランスでの導入については
2019年の下院議会にて
1000個のGPS追跡機の製作費として
560万ユーロ(日本円にして約6億8000万円)
の緊急予算の計上が決定し
180万ユーロの年間運営費用が
予算として組まれました。
フランスでは近年
DV(家庭内暴力)による被害が
年々増加傾向にあり
2018年は121人の女性が亡くなり
2019年には146人が亡くなりました。
フランス政府は
DVの被害者は年間20万人に上るものの
そのほとんどが警察に通報しないと指摘。
新型コロナウイルス感染拡大を受け
家庭内暴力の被害者たちは
加害者から逃れられない状況にあり
危機的状況にあると言います。
現時点では5都市の裁判所からしか
電子足輪の提供は出来ていませんが
年内にはフランス全土で
このGPS追跡機の使用が可能になる
としています。
またGPS追跡機の導入と同時に
警察官の訓練強化や
被害者への保護施設1000か所の増設など
合わせて行っていくとしています。
導入した国や地域の事例
現在世界では
DV加害者の監視目的ではなく
「殺人」や「性犯罪」など
再犯性が高く
重犯罪の前科のある人物に対し
GPS追跡機を利用する国があります。
● アメリカ(半分以上の州)
● 韓国
● イギリス
● フランス
● ドイツ
● カナダ
● スウェーデン
中でも、スペインやアメリカ(一部地域)では
DV(家庭内暴力)の加害者に対しても
GPS追跡機を導入しているという点において
他国より先んじた政策を取っています。
GPS追跡機を導入したスペインの成功例
今回、フランスでDV加害者に
GPS追跡機の取り付け法案が
可決された背景には
スペインでの成功実績があります。
2008年からスペインで導入された
この制度により、
家庭内暴力により殺害された被害者数が
飛躍的に減少したという事です。
2007年、スペインでは
71名の女性が
夫または元夫によって殺されましたが
GPS追跡機の導入後
2018年は
48名まで減少しました。
2009年にスペイン政府は
3000個のGPS追跡機を購入。
そのうち450個分
(=DV加害者450人分)により
毎月1200件ほど
深刻な警報アラーム発動が報告
されており、
DV被害者を加害者から守っています。
参考:https://www.theguardian.com/society/2010/dec/14/spain-domestic-violence-women-morel
GPS追跡機はどのように作動するのか
GPS追跡機の使用による
加害者の監視と被害者の保護については
国や地域によって
その警戒範囲や機器の使用方法が違う
可能性があります。
そのためフランスではどのような
ルールが敷かれるかは
定かではありません。
今回の件について調べていた際に
スペインのある女性DV被害者の
GPS追跡機に関する記事を読んだので
その方の状況を参考に
その実用性や機器の作動状況について
紹介したいと思います。
記事に書かれていたのは
スペインで2人の子供と
夫(DV加害者男性)と暮らしていた
ある女性の話です。
加害者男性は執行猶予付きで釈放後、
被害者女性へ300メートル以上
近付いてはならないという
接近禁止命令が裁判所より出されました。
加害者の足首には
GPS追跡機の取り付けが言い渡され、
半径700メートル以内に近付くと
被害者女性の手元の受信機から警戒音が鳴り、
すぐさま被害者女性の携帯電話に
警察から連絡が入る
仕組みになっています。
事件後、被害者女性はすでに
別の場所で暮らしていましたが
出廷のために以前住んでいたエリアに来た所
GPS受信機から警戒音が鳴りました。
警戒音が鳴り出してすぐに
被害者女性の携帯電話あてに
警察から電話が入ります。
警察からは電話で
● 加害者からの距離(「現在地から700メートル離れている」)
● 加害者の現在地(「相手は△△通りにいます」等)
などの具体的な情報が提供され、
被害者が近くの交番へ到着するまでの間
電話でやりとりが続けられます。
記事では被害者女性が
「警戒音が鳴ってからずっと身体の震えが止まらなかった」
と話している事からも想像できるように
「加害者が近くにいる」と思うだけで
被害者の心理的な不安と恐怖は
相当な物でしょう。
安心できる場所に到着するまで
電話越しにずっと警察官と話をし
繋がっていられるという安心感は
このような状況下においては
とても意味があると思います!
記事によれば、
● 加害者側のGPS追跡機の充電が無くなった場合
● 加害者がGPS追跡機を取り外そうとした場合
● 加害者が被害者から一定距離以内に侵入した場合
などの状況になると
受信機の警戒音が鳴る
仕組みになっているそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き
ありがとうございました。