はじめに
8月23日の早朝、栃木県足利市羽刈町の牛舎で3頭の子牛がいなくなっている事に経営者が気が付きました。
監視カメラを確認した所、前日22日の午後10時頃、2人の男が子牛の前脚と後脚をそれぞれ掴み、宙吊りにして牛舎から運び出す様子が映されていました。
近くには別の男が1人映っており、3人組による子牛の盗難事件が発覚。
この牧場では今年6月にも子牛2頭が盗まれる事件があったため、同一犯ではないかとみられています。犯人はまだ捕まっていません。
この事件を受けて本ブログでは、
という疑問に答える情報をシェアさせて頂きたいと思います。
家畜盗難の目的とは?
まずは「何故、子牛を盗んだのか」
犯人たちの目的について調べてみる事にしました。
今回被害にあった「鶴田ファーミング」で盗まれたのは生後2週間~1か月の食肉用の黒毛和牛の子牛だということです。
1頭当たり約30~50キロの子牛を大人の男2人がかりで1頭ずつ、6月の被害と合わせて合計6頭盗み出しています。
防犯カメラの映像から、「犯人は東南アジア系の外国人ではないか?」とネット上では噂になっています。
盗まれた子牛は食肉用の黒毛和牛で1頭当たり30万円から100万円で取引されるということで、犯人は盗んだ牛を闇ルートで売りお金にするために犯行に及んだとみられています。
牛の個体識別番号(耳標)について

引用元:http://www.super-nishigaki.jp/traceability/
日本国内で生まれたすべての牛には、10桁の数字で構成される「個体識別番号」が印字された「耳標」が牛の両耳たぶに取り付けられます。
耳標は生後1週間以内に子牛に取り付けられる唯一無二の番号で、発行は「家畜改良事業団家畜個体識別センタ-」が一括で管理をしています。
各酪農家には家畜改良事業団家畜個体識別センタ-から年に3回、耳標の手持ち在庫が少なくなっている酪農家に自動で配布されます。
家畜改良事業団家畜個体識別センタ-では発行した耳標のデータを保管しており、
「何番の番号の耳標を、どこの農家に配付したか」という所在について、正確にデータ管理を行うことができる
引用元:http://liaj.lin.gr.jp/japanese/kentei/ID/159_13.pdf
ようにしています。
つまり、「家畜改良事業団家畜個体識別センタ-(=耳標の発行元)」と「酪農家(耳標の使用者)」双方によって、日本中の牛の個体識別が出来るようになっているのです。
これにより日本国内で流通するすべての「国産牛」は、その出生日から育成された牧場の名前、販売ルートまで全てが見える化されているんです。
盗まれた家畜はどうなるのか?
「耳標」がすでに着けられている今回盗難にあった子牛については、「耳標」がある以上そのままの状態では盗難品である事が一目瞭然!
売る事も育てることも出来ません。
「海外に生きたまま輸送して繁殖用として育てるのではないか?」
という記事をネットで見ましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外との輸出入が通常より少なく、審査も厳しくなっている今、盗んだ子牛を海外に輸送するのはリスクが高いと考えられます。
本当にかわいそうですが、盗難にあった子牛はどこかで解体され、個体識別番号が分からない「食肉」の状態になった上で闇ルートで販売されるという予想が濃厚です。
まとめ
今回、子牛が盗難にあった事件を受けて「耳標」という国内の牛を識別するための仕組みがあり、監視カメラを作動させていたにも関わらず、やはりどこかに抜け道があり、それを狙ってこのような家畜泥棒がいまだに存在するという現実を知りました。
ネット上では、牧場や牛舎など周辺をうろつく不審者を見かけたらSNSなどで警戒を呼び掛けるなどの予防策を積極的に行おうという動きがありました。
ある酪農家は「こうして仲間内で呼びかけ合い警戒している事をアピールする事で盗難グループに対する抑止力になる」としており、地道な活動ではありますが、事前の下見や情報収集を行う盗難グループに対しては確かに効果がありそうだと感じました。
私たち消費者もこうした生産者からの声に耳を傾け、一緒になって警戒心を維持しながら、販売ルートの確かなお肉を頂きたいですね!
犯行グループが早く捕まる事を祈っています!!
最後までお読みいただきありがとうございました。